014.母親の戸籍の捜索を含めた戸籍整理

 

初 日  福岡県の2世の男性より、電話にてご家族の戸籍整理の依頼を受ける。
依頼者はお父様とご夫人の戸籍謄本をお持ちであるが、お母様のものをお持ちではなく、また、外国人登録上の本籍地がお父様と同一に処理されていたため、お母様の本籍地も分からないとのこと。
当事務所としても書類での調査は不可能と判断、ご高齢のお母様の記憶を頼ることにする。

 

5日目  お母様の記憶によると、本籍は「チャンウォングン・ネシンミョン・ヨンダンイ」とのこと。
韓国地名便覧で該当する地名を探したところ、現在の「馬山市内西面龍潭里(マサンシ・ネソミョン・ヨンダムニ)」である可能性が高いと判断。
その地を管轄する面事務所に戸籍謄本を請求する。


13日目  幸いにもお母様が記載された戸籍謄本が到着。
全ての戸籍謄本を確認したところ、戸籍整理には下記の申請が必要なことが判明する。
(1)お父様の「死亡の戸籍整理申請」
(2)依頼者の「出生の戸籍整理申請」
(3)依頼者ご夫婦の「婚姻の戸籍整理申請」
(4)お子様の「出生の戸籍整理申請」
さっそく、依頼者に申請用紙と説明書をお送りする。

103日目 依頼者より署名・捺印がなされた申請用紙と各種証明書が到着。
依頼者のお父様の本籍地の面事務所に、全ての戸籍整理を同時申請する。


140日目 整理された戸籍謄本が到着。依頼完了。


所長雑感  ご両親のうち既にお父様は他界されていたのですが、配偶者が共にそれぞれの戸籍に記載されている場合、在日同胞であれば特例的に日本の役所の「婚姻届の証明書」を提出して「婚姻の戸籍整理申請」をすることができます。
今回の事例では、残念ながら日本の役所の保存期間経過のため「婚姻届の証明書」を提出することができず、依頼者は婚姻外子として「出生の戸籍整理申請」をせざるを得ませんでした。
しかし、戸籍の依頼者の欄にはお母様の名前と本籍が記載されました。 
 
【追記】

この事例ではお父様は既に他界されていたのですが、お父様の戸籍が存在し、お父様が婚姻中の子として届出をした日本の役所の「出生届の証明書」が有るということで、韓国の法律上は婚姻外の子としてではありましたが父親の戸籍に載りました。


ところが現在(2003年9月3日以後)は、同様の出生整理は不可能となりました。その根拠は次の通りです。


[引用開始]日本国居住の在外国民である実父が、婚姻外子(訳者注:韓国法上の婚姻外子の意)の出生申告をその居住国方式に従ってその国の官公署に提出して作成された出生受理証明書等は、単に出生申告時に提出する出生証明書に代わる書類に過ぎないので、その書類だけでは婚姻外子が実父の戸籍に入籍することはできず、別途に認知の効力発生を証明する書類を添付しなければならない。従って国際私法第41条第1項で定めている現在の子の常居地法により日本国にて認知をした事実が有るなら、日本国官公署が発行する認知の効力発生を証明する証書謄本を提出する場合にのみ可能であると言える。(2003.9.3.戸籍3202−361外交通商部長官対法院行政処長の質疑回答)(了) 
 
現在では、韓国法律上でいう父親の婚姻外の子として出生整理又は出生申告をするには、父親が申請人又は申告人になるのが絶対条件です。よって父親が他界したら不可能です。