036.父親の、日本の役所への「認知届」に基づいた「出生の家族関係登録簿整理申請」

 

初 日  埼玉県在住の2世の男性から電話にてご家族4人の登録簿整理の依頼を受ける。
伺ったところ、在日1世の母親の婚姻外の子として生まれた後に、在日1世の父親の認知を受けたとのこと。外国人登録上の姓は当然、母方の姓から父方の姓に変更された。

父親が記載されている古い戸籍謄本はあるが、そこには既に他界した父親の死亡の記録はされていない。 

 

7日目 父親の最新の除籍謄本を取り寄せる準備が出来たので早速その手続きをする。 

 

15日目 父親の除籍謄本が到着。1972年に他界した父親の韓国への死亡申告が1988年に手続きされており、それが記録された除籍謄本が来る。

以下の整理申請が必要であることが判明する。
1.父親の「認知届」を根拠にした依頼者自身の「出生の家族関係登録簿整理申請」
2.依頼者と奥様(日本国籍)の「婚姻の家族関係登録簿整理申請」
3.お子様2人の「出生の家族関係登録簿整理申請」

依頼者の父親の生年月日が、除籍謄本上と市役所発行の「認知届」上とで異なっているとのことなので、まずは申請に必要な証明書類を当事務所に送って頂き、現物を確認した上で対処することにする。直ちに、申請用紙と説明書を依頼者宛にお送りする。 

 

59日目 依頼者から当事務所に署名・捺印された申請用紙と各種証明書が到着。

確認したところ父親の生年月日が、韓国・除籍謄本上と日本の市役所発行の「認知届」上とで相違するので「韓国戸籍優先のルール」に従って、日本の役所の「認知届」に対して「追完届」をすることにする。当事務所より依頼者宛に「追完届」に必要な書類一式をお送りする。

母親の生年月日が、依頼者の「出生届」上と「認知届」上で相違する件については、母親の韓国戸籍が無いばかりか母親と連絡すら取れないので、仕方なく当事務所にて、生年月日が相違しても同一人物であるという「事実証明書」を作成し依頼者の方で証明人を付けて頂く方法を取ることにする。

70日目  「追完届」がなされた各種証明書等が到着。早速、依頼者自身の「出生の家族関係登録簿整理申請」など4申請の手続きを登録基準地の面事務所にする。

89日目  全ての申請が無事受理され、家族関係登録簿の各種証明書が到着。

ご家族3人(日本国籍の奥様は除く)それぞれの基本証明書に「日本語翻訳文」(当事務所のサービス、2006.3から実施)をお付けして、各種証明書及び登録簿整理後の手続きに関する案内文をお送りする。

依頼完了。

 


所長雑感  この事例では、依頼者の家族関係登録簿を親と繋ぐ方法、つまり「出生の家族関係登録簿整理申請」に依って作成するには悪条件が重なりました。

父親は既に他界し母親は行方不明である、両親の婚姻届は日本の役所に出していない、父親の生年月日が韓国・戸籍上と日本の「認知届」上で相違する、母親の韓国戸籍は探せなかった、母親の生年月日が依頼者の「出生届」上と「認知届」上で相違する、です。

枝葉的なことはさておき、韓国の法律上で父親の婚姻外の子として出生申告をするには父親が申告人になるのが絶対条件であり、同じく母親の婚姻外の子として出生申告をするには母親が申告人になるのが絶対条件です。父親が他界し母親が行方不明では絶対に不可能です。

ところが救いが有りました。その根拠は次の通りです。

「引用開始」

・・・日本国居住の在外国民である実父が婚姻外の子の出生申告を、その居住国方式に基づいてその国の官公署に提出して作成された出生受理証明書等は単に出生申告時に提出する出生証明書に代わる書類に過ぎないので、その書類だけでは婚姻外の子が実父の戸籍に入籍することはできず、別途に認知の効力発生を証明することのできる書類を添付しなければならない。従って国際私法第41条第1項で定めている現在の子の常居所地法に依り、日本国にて認知をした事実が有るならば日本国官公署が発行する認知の効力発生を証明する証書謄本を提出した場合にのみ可能であると言える。

(2003.9.3.戸籍3202−361外交通商部長官対法院行政処長質疑回答)